徒然日記

よかったものを紹介する

金環蝕

今回はこちら。

 

「金環蝕」

作者:千花鶏

atrium.flop.jp

「きっと御伽話なら、めでたしめでたしで終わるのに」

死の呪いを身に受けて悠久の時を生きる男と、その解呪の方法を追究する里に生まれた魔術師の娘。 とある遺跡を調べるべく、ふたりは旅に出る。
―― これは永劫に続く歴史の狭間で、刹那だけ重なった生の記録。

 

 前に紹介した、女王の化粧師と同じ世界観です。

esrgt.hatenablog.com

他にも、裏切りの帝国という作品がありますが、こちらのほうが文章量がライトなので、読みやすいかと思います。

(女王の化粧師、裏切りの帝国ともに、超長編なので読むのに時間がかなりかかります…)

 

女王の化粧師よりもさらにファンタジー感が増しているような作品です。

不死身の男を支える一族の少女ヤヨイの心の揺れ動く様が、とても美しく、そして儚く感じられます。

不平等な時間の流れの中で、わずかに絡まった彼らの行く先が、どうか良いものであれと思わされる作品です。

 

 

人狼への転生、魔王の副官

 今回はこちら。

 

人狼への転生、魔王の副官

作者:漂月

 

人狼の魔術師に転生した主人公ヴァイトは、魔王軍第三師団の副師団長。辺境の交易都市を占領し、支配と防衛を任されている。
元人間で今は魔物の彼には、人間の気持ちも魔物の気持ちもよくわかる。おかげで周囲からは知勇兼備の名将だと思われているが、実際は苦労の連続だ。
やたらと暴力に訴えがちな魔物たちを従え、すぐに文句を言う人間たちも何とかして、彼は今日も魔王軍の中堅幹部として頑張る。

 

小説家になろうに掲載されている作品で、書籍化(アース・スターノベル)・コミカライズ(コミックアース・スター)もされています。

 

小説家になろう鉄板の異世界転生モノです。

いわゆる亜人に転生し、人間だった頃の思想をうまく活かす、というのはなろう系ではよくあるものだと思うのですが、この作品は細部もきちんと作りこまれている印象です。

主人公だけでなく、周囲の人物も魅力的なひとが多く、読んでいてとても面白いです。

最後はハッピーエンドなのもいいですよね。

 

私自身は、なろう系で俺TUEEEやハーレムものが苦手なんですが、この作品はそういった要素がほぼなく、ファンタジーとして面白い作品だと感じています。

 

 

 

 

柊くん、私をイライラさせないで

今回はこちら。

 

「柊くん、私をイライラさせないで」

作者:宮崎笑子

 

kakuyomu.jp

 

無神経に無神経を重ねた地雷原を、上っ面の良さとお愛想で駆け抜けろ!

好きな人にはいつのまにかめちゃくちゃかわいい彼女ができていたし、私は天敵のモラハラ男といつの間にか寝ていた。
かわいくないから人生がうまくいかない!もっと美人なら私だって……!

捻くれ暴言マシンガン男と卑屈猫かぶり女の仁義なき、愛だの恋だのくだらねえ!おまえだけは許さん!から始まる(始まるのか?)ラブストーリー!

 

こちらはカクヨムで掲載されている作品です。

 

サークルの同期である暴言吐きまくりモラハラ男柊くんと、卑屈と猫まみれな女の子桃香ちゃんが、すったもんだあってくっつく(?)ストーリーです。

序盤の柊くんは本当に暴言しか言っていなくて、セリフを抜き出すと本当にひどい(笑)

でも、なんだかんだ言ってちゃんと落ち着く二人のことが大好きです。

桃香ちゃんのコンプレックスは、程度は違えど皆それなりに持っているものではないかと思います。

それを抱えた桃香ちゃんを、(暴言吐きまくるけど)なんだかんだ言って支えてあげたりする柊くんが憎めない。ポメらぎくんはかわいい。(笑)

 

互いに欠点が目立つふたりだけど、割れ鍋に綴じ蓋みたいな関係で、このふたりだからこそ支えあって生きていけるんじゃないかなあと思っています。

 

らぎももはいいぞ。

ブルーピリオド

今回はこちら。

 

「ブルーピリオド」

作者:山口つばさ

 

afternoon.kodansha.co.jp

世渡り上手な努力型ヤンキーが絵を描く悦びに目覚める! 絵を描かない人にも刺さる熱くて泣ける美大受験物語!
成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。 その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。 美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポコン受験物語、八虎と仲間たちの戦いが始まる!

 

こちらは「マンガ大賞2020」で第1位を獲得したことも話題になった作品です。

 

ある絵を見たことをきっかけに、主人公の八虎は美術の道を志します。

絵を通して、八虎は「自分は何者なのか」「何をしたいのか」という問いを突き付けられます。

自分と向き合うことは、人によってはかなり苦しいことです。

それでも、そこに全力で向き合っていく八虎の姿が、心を揺さぶります。

 

特に、最新刊7巻はそれらの問いが今までよりいっそう深く突き刺さる内容になっており、(人によってはメンタルに来ますが)それでも藻掻く八虎を応援したくなる内容です。

 

私自身はまったく絵の造詣が深くないのですが、そういう人でも楽しめる作品です。

 

ハイキュー!!

今回はこちら。

 

ハイキュー!!

作者:古舘春一

 

www.j-haikyu.com

 

 

劇的青春!バレーボール物語!!

おれは飛べる!! バレーボールに魅せられ、中学最初で最後の公式戦に臨んだ日向翔陽。だが、「コート上の王様」と異名を取る天才選手・影山に惨敗してしまう。リベンジを誓い烏野高校バレー部の門を叩く日向だが!?

 

バレーボールを題材とした、少年ジャンプに掲載されている作品です。

 

昨今のスポーツ漫画では、いわゆる「超次元」のようなリアルではありえないプレーを扱っている作品もあります。

それはそれで面白いのですが、ハイキューはかなりリアルにこだわった作品だと感じています。

作者の古舘さんも学生時代にバレーボールをやっていた経験があるそうで、その影響かなと思います。

 

ハイキューの素晴らしいところは、敗者にもスポットライトを当てているところです。

 

もちろん物語としては勝者に焦点を当てるものも多いですし、ハイキューでも主人公たちがどうやって勝っていくかが物語の主軸のひとつでもあります。

しかし、試合で負けた側の描写もされており、彼らも精一杯バレーボールに取り組んできたんだなと見せてくれるところが、私のお気に入りポイントです。

実際、トーナメント戦で試合をすると優勝した人/チーム以外は皆最後は敗者です。

そこで負けた人たちにもストーリーがあることを描いてくれている作品はなかなかないように感じています。

 

また、バレーボールのルールも合間に解説が入っていたりするので、ルールを知らない人も楽しめるのではないかと思います。

 

バレーボールをやっていた人はもちろん、そうでない人にもおすすめの漫画です。

重力ピエロ

今回はこちら。

 

「重力ピエロ」

作者:伊坂幸太郎

 

www.shinchosha.co.jp

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。
家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。

連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。

そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。

謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。

溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

 

こちらも人気作品ですよね。

映画化もされている作品です。

 

私はこれまでそれなりに多くの小説を読んできたと思っていますが、その中でも始まりの一文が秀最も逸だと思っているのが、「重力ピエロ」です。

 

春が二階から落ちてきた。 

 

この一文から、重力ピエロは始まります。

季節の「春」と主人公の弟「春」がかけ合わさった、とてもお気に入りの一文です。

 

内容としては、主人公の家族が抱える問題と周囲の事件がリンクしていく、少し不思議な作品です。

ミステリっぽくもあり、家族との愛情を確かめられるようなほっこりする部分もあり、読んでいて面白い作品です。

 

図書館戦争

本日はこちら。

 

図書館戦争

作者:有川浩


promo.kadokawa.co.jp

 

正義の味方、図書館を駆ける!-公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ。

 

言わずと知れた名著だとは思いますが、私のなかで特別な本なのでご紹介。
(読破済みのかたも多いと思うので、ネタバレしまくりです。未読の方はまず読んでみてください)

 

本編4巻、別冊(スピンオフ) 2巻の計6巻が単行本・文庫本で出版されています。

また、コミカライズ2種、アニメ化、実写映画化もしている、人気作品です。

 

主人公・笠原郁が就職したのは検閲から本を守る図書隊。

配属先の上司・堂上篤をはじめとする愉快な仲間たちと共に、本を守り抜くストーリーです。

 

私がこの本と出会ってから10年以上経ちますが、何度読み返しても面白いストーリーです。

また、「検閲から本を守る」という彼らのミッションが、現代に通ずるところもあります。
「青少年を不健全な図書から守る」なんていうような条例が報道されるたびに、リアル図書館戦争とも話題になりますよね。

 

 

もちろん、その方面でもなかなか秀逸なストーリーだと思いますが、何より登場人物が魅力的なのもこの物語のアピールポイントでしょう。

 

私は図書館戦争のあまりの魅力に、周囲に布教し一大ムーブメントを巻き起こした経験があるのですが、やはり大きな話題は

「ところであなたは誰派??」

というものでした。皆さんもそうだと思います。

私は、10年経った今も変わらず堂上教官一筋です。
俗っぽい言い方をすれば「同担歓迎堂上教官強火オタ」です。

郁のことが大好きな堂上教官が好きです。

茨城県展の郁を慰めるシーンも、当麻先生亡命事件の「泣くな、笑え」のシーンも、堂上教官の郁を思う気持ちがとても良い……

そして別冊の甘々な二人を見て砂糖を吐きそうになるまでがテンプレ。

 

堂上教官の少し不器用ながらも郁を思って行動しちゃうところが好きです。

 

もちろん、小牧教官や手塚も好きです。それぞれのカップルが末永く幸せでいてほしいです。

初読のときから大人になって、玄田隊長と折口さんの関係も素敵だなと思えるようになってきました。

 

 

本当に、図書館戦争は素敵な物語だと思います。

 

余談ですが、大学入学後、図書館で「図書館の自由に関する宣言」を見かけて、職員の方に無理を言って写真を撮らせてもらいました。

本物を見かけてドキドキしちゃいましたね。