女王の化粧師
今回のおすすめはこちら。
「女王の化粧師」
作者:千 花鶏
女王と王女を立て続けに失い、五人の候補者が次期女王の座を争う、芸妓の小国デルリゲイリア。王都の娼館で働く顔師の前に、女王候補のひとりに仕える男が現れる。
――ミズウィーリ家が一女、マリアージュの化粧師として、あなたを迎えたい。
マリアージュ。彼女こそ女王候補に選出されながら、最も玉座に「遠い」と侮られる娘。
男の名をヒース。ミズウィーリ家当主代行。有能な白皙の美貌の青年。
男が求めた顔師を、ダイ。弱冠十五の若年ながら腕利きとして最も望まれる化粧師。
これは、覇者の座を求めて足掻くものたち、それを傍観するもの、そしてその影にあった、ひとりの化粧師の物語。
このお話は、女王候補が名君となって、主人公カップルが大恋愛の末に結婚するハッピーエンドです。
(カクヨムより引用)
こちらは本当に好きな作品で、「とりあえず読んで!!!!」と言いたい作品です。
カクヨムやなろうにも掲載されていますが、一番更新が早いのは作者様の個人サイト「BARROCO」です。
また、現在ビーズログ文庫にて書籍1巻が発売されています。
さらに、コミカライズもされており、最速はマンガUP!、そのほかpixivコミックにも掲載されています。
現時点で、文庫本に換算すると10冊以上の文章量だそうです。
しかし、中だるみはなく、読んでいるうちにどんどん引き込まれてしまうような作品です。
ストーリーがすごい!
散りばめられた言葉の奥に潜む本当の意味が、読み進めていくうちにわかります。
後から「あのときの言葉はそういう意味だったのか!」と驚く、本当にすごい作品です。
特に、序幕での数々の言葉たちが、後からどんどん本当の意味が分かってきてすごいです。
何度でも読み返したくなるような作品だと思います。
もちろん、序幕だけではなく一幕、二幕、三幕と進んでいくにつれて重厚なストーリーが積み重なり、続きを読むのがやめられませんでした。休日が溶けます。
登場人物がいい!
花街出身の化粧師、主人公ダイ。
上流貴族の当主代行を務める青年ヒース。
癇癪持ちの女王候補マリアージュ。
メインの登場人物である彼らだけでなく、出てくる皆それぞれに魅力があり、欠点があり、すごく人間臭い彼ら。
好きにならざるを得ないです。
最後はハッピーエンド!
現状、皆傷付きながらも足掻き藻掻いている彼らですが、結末ではハッピーエンドになると作者の千花鶏様自ら公言しています。
今の時点では、なかなか彼らが幸せになるところは想像しにくいですが、彼らの心で思うことが実現したら、きっと幸せになれると思うし、特に主人公は幸せになってほしいと強く思います。
ハッピーエンド好きも、ちょっとギスギスしたものが好きな人も、安心して楽しめる作品です。
最後はハッピーエンド!ハッピーエンドです!!
以下はネタバレ込みの感想です。
序幕で言っていた「私の主が、真の意味で国の主となるために」というセリフが本当に好きです。
ヒースは決して嘘を言っていないんですよね……
そして、それぞれの道が違えても、心の中で思うことだけは自由だと互いに思い続けているその心がまさに「尊い」としか表現できません。
大陸会議などで抑えられなくなったディトラウトとかもうね……!!
そして、三幕九章が本当に読んでいてしんどいです。
ふたりが立場も何もかも忘れて、ただの「ディアナ」と「ヒース」でいられる、現状の彼らにとってはこれが最初にして最後の恋人でいられる時間だと思うと、本当に胸が張り裂けそうになります。
はやくしあわせになって……!!!
さらに、個人的にはマリアージュ様とダダンがどうなるのかがとても気になるところです。明らかに好き合ってるじゃん……
少なくともマリアージュ様は「これがアリシュエルやダイが持っている感情」だと認識してるわけですし???
ダダンもマリアージュ様に「私の国をあなたの国にしてあげる」って、"国なし"のダダンにとってはとんでもなく刺さるセリフで、しかもそれを言ったのが国の女王ですよ…惚れるしかないやつ……
作者様はディアナとヒースが結婚して、万年新婚夫婦なんて言われているくらいになるって公言してますが、マリアージュ様に対しては名君として名を馳せるとはあるけれど誰と結婚するのかは公言していないわけで……
ダダンと結婚してほしいけど、マリアージュ様が女王であるがゆえにやっぱりそれなりの身分の人しか結婚できないのかもしれないとか思わなくもないので、はやく結婚してほしい(?)
いざとなったらディトラウトのパワーでなんとかしてくれると信じてますから……
あと、個人的にはアッセに幸せになってもらいたい。というか報われてほしい。
いや、報われない感情もあるのだけど、きちんと幸せになってほしいなって特に思う一人です。
ロディマスは知らぬ間に結婚とかしてそうだと思うので……
現時点では、3幕終章がかなり不穏なところで終わっているので、更新が待ち遠しいですね……